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消費者オンラインアンケートに対する新型コロナウィルスの影響

新型コロナウィルスの感染拡大は、国内のみならず各国の消費者への市場調査に多大なる影響を与えています。特に、調査参加者への直接の接触が必要となるデプスインタビューやグループディスカッションなどオフラインで通常行われる市場調査は、接触感染の危険から調査の実施自体を延期もしくはオンラインでの実査に切り替える動きが多くみられます。では、オンラインでの市場調査に関する影響はどうでしょうか? Syno Internationalは、海外10ヶ国の消費者に対するオンライン定量調査 (以下、グローバルリサーチ)と、国内の顧客体験価値(CX)に対する調査(以下、CX調査)におけるアンケート回答数や完了率、脱落率と新型コロナウィルスの影響を時系列で分析し、現時点におけるオンラインでのグローバルリサーチやCX調査の実施可否を検証しました。 尚、今回は新型コロナウィルスがもたらす回答者の回答傾向(消費者の意識や意向、将来の展望など)に対する影響の検証ではなく、アンケート自体の回答率や脱落率からみるオンライン調査の実施自体の検証であること、また現時点におけるデータを元に検証した結果であり、今後は状況によっては結果が大きく変わる可能性がある点ご留意ください。 検証結果まとめ 海外の消費者を対象としたアンケートの回答完了率や脱落率に対しては、今回対象となった10ヶ国全てにおいてネガティブな影響は見られなかった。逆に、10ヶ国全てにおいて2019年と比較し、回答完了率は高くなった。(脱落率は低くなった) 年代や性別、居住地なども同様の傾向がみられたことから、上記は特定のデモグラに限定されている傾向でないことがわかる。 特に中国、香港、シンガポール、タイの回答完了率は前年比120%以上と高くなっている。 また、脱落率は2019年3月の調査では10%以下がどの国でも見られなかったが、2020年3月では台湾、香港、シンガポール、タイ、オーストラリア、フランスは全体の10%以下となっている。 国内のカスタマーエクスペリエンス調査の回答率に対しても、オンラインで回収するアンケートの場合は新型コロナウィルス感染者の数と回答完了数や脱落率の相関性は見られず、ネガティブな影響は見られなかった。 但し、QRコードを利用してオフラインで回収するCX調査は、新型コロナウィルス感染者の数が増加するにつれて、アンケートに参加する人数が減るため、回答数は大幅な減少傾向にある。 検証結果からのSynoの考察 グローバルリサーチ及びCXの回答率において新型コロナウィルスの影響は顕在化しておらず、正常時と比べて回答が集まらない、あるいは通常よりも長い実査期間を要するわけではないことがわかった。この理由としては、通常時に比べてオンラインでアンケートに回答する時間を多く確保できる状況であることが予想される。上記を考慮し、定量及び定性調査のオンラインへの切り替えは、回答を収集するという点においては問題なく行うことができる。 店舗調査などでオフラインで回収するCX調査は、自粛の影響で営業時間の短縮や店舗自体の休業により、来客人数によるアンケート回答者数の減少は避けられない。但し、メールやSNSなどのチャネルを利用したオンラインでのCXアンケートに関しては、グローバルリサーチ同様に回答率や脱落率に対しての影響はない。このことから、顧客の購買状況を考慮したチャネル(例えば、オンラインショッピングの購買者に対するアンケート)に切り替えたCX調査を行うことで、顧客体験を継続的に把握することが可能である。 グローバルリサーチの検証詳細 検証方法 グローバル10ヶ国(台湾、中国、香港、シンガポール、タイ、オーストラリア、米国、英国、ドイツ、フランス)の消費者を対象に2019年3月と2020年3月に実施した同一条件(対象条件、調査時間、調査時、同一パネルソースetc)の定点調査を比較し、各国の回答完了率*及び脱落率**を算出した。 *回答回答率は、アンケートリンクにクリックした全ての回答者の中で最後まで回答した人の割合。 **脱落率は、アンケートリンクにクリックした全ての回答者の中で最後まで回答した人の中で、途中でアンケートを中断した人の割合 検証結果 全ての国において、回答完了率は前年度に比べて高い結果となった。特に、中国、タイ、香港では完了率の伸びが120%以上と高く、続いてオーストラリア、ドイツと続く結果となった。 脱落率を見てみると、特にタイや香港、シンガポールでアンケート途中に脱落する人の数は少なくなっている傾向がみられた。また、台湾、香港、シンガポール、タイ、オーストラリア、フランスで脱落率が全体の10%以下となっている。 まとめ 新型コロナウィルス拡大において、2019年3月と2020年3月に実施した同じ調査を比較したところ、回答完了率(脱落率)へのネガティブな影響は見られなかった。逆に途中でアンケートを辞めずに最後まで回答する人の割合が高くなっていることから、オンラインでのアンケートにおける回収率に関しては、今回の新型コロナウィルスの影響は受けておらず、通常時と比べてアンケートの回収が集まらない状況ではない。 CX調査の検証詳細 検証方法 国内の継続的に実施している全てのCX調査と新型コロナウィルス感染者数を比較し、回答数、回答完了率、及び脱落率の相関をオンライン及びオフライン回収別に検証した。 検証結果 *実際の回答者数(左軸)は機密情報のため非公表。各週の新型コロナウィルス感染合計は右軸に表示。 新型コロナウィルス感染者数とCX調査の回答者数を時系列で比較してみると、通常EmailあるいはSNSなどを経由、あるいはウェブ上でアンケートを依頼するオンライン回収のCX調査において、回答者数に対してネガティブな影響は出ていないことがわかる。逆に回答数は上昇傾向にあり、業種別にみても同様の傾向がみられた。 *実際の脱落率(左軸)は機密情報のため非公表。各週の新型コロナウィルス感染合計は右軸に表示。 さらに脱落率に関しても、新型コロナウィルス感染者の数と脱落率との相関は見られず、アンケート完了率に対して影響はみられない。 *実際の回答者数(左軸)は機密情報のため非公表。各週の新型コロナウィルス感染合計は右軸に表示。 一方で、観光施設や小売店、レストランやコーヒーショップなど、現場でQRコードを利用して実施されるオフライン回収のCX調査に関しては、新型コロナウィルス感染者数が増加するにつれ、回答者数は減少傾向にあることがわかった。特に、観光施設に関しては早い段階でその傾向が顕在化している。 まとめ オンライン回収のCX調査に関しては、新型コロナウィルス感染者数は回答数及び脱落率にはネガティブな影響を与えていないことがわかった。一方で、オフライン回収のCX調査に関しては、新型コロナウィルスの感染拡大が進むにつて、アンケートに参加する人数が減少していることから回答者数も大幅に減少していることがわかった。よって、CX調査に関してはオンライン回収での実施の場合に関しては、オフラインでの実施から切り替えることは大いに可能である。

筆者 Soji Nagano
2020-04-10
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