近年「ゼロパーティデータ」という言葉を耳にするようになったものの、いまいち概念がわからない、なぜゼロパーティデータが大切なのか、他のデータとの違いがわからない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、この「ゼロパーティデータ」は実は消費者でもある我々にとって重要な概念なのです。例えば、ウェブ上で開いたページに以前買い物をしたECサイトの広告が出てきたり、SNSの広告で、数時間前に検索した商品が出てきたことはありませんか?
企業やウェブ媒体がどこから取得したかわからない自分のデータを使用して、広告などに利用していたらいい気持ちはしませんし、本来他人に見せるつもりのないWebの検索履歴を監視されているような気持ちになりますよね。
このような消費者の個人情報に対する懸念の高まりから、企業がマーケティング目的等で消費者データを使用する場合は、消費者から同意を得たアンケートデータである「ゼロパーティデータ」を使うべきだという声が増えているのです。
そこで、本記事では「ゼロパーティデータとは何か」といった基本情報をご紹介するとともに、なぜ近年ゼロパーティデータが注目を集めているのか、またゼロパーティーデータを使用するメリットについて分かりやすくご説明します。
目次
ゼロパーティデータとは?
ゼロパーティデータの特徴
・正確性
・信頼性
・ポストCookie対策
終わりに
ゼロパーティデータとは?
消費者の好みや志向に合わせ、PRやマーケティングなどを消費者にカスタマイズして提供することが当たり前となった現在、ネットの検索履歴や消費者の行動データなどをもとに消費者の特性を基にしたマーケティングが行われており、消費者データの収集はますます重要度を増しています。
しかし、テクノロジーの進化と同時に消費者のプライバシーへの意識にも変化が見られています。自分の情報が同意もなく利用されるということや、個人情報がどのように利用されているか見えない不透明さに対し消費者が嫌悪感を抱くようになり、またそれに伴い個人情報における規制は強くなっているのが現状です。
関連記事:GDPR(EU一般データ保護規則)とCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)とは?データ戦略見直しのために知っておくべき個⼈情報保護規制を解説|Syno Academy
そんな中、消費者のプライバシーを守りながら、彼らの特性を知るためのデータ収集が可能な方法が模索されています。そこで注目されているのが、「ゼロパーティデータ」です。ゼロパーティデータ、つまり「消費者の同意のもと提供されたデータ」に基づき、消費者にとって最適なマーケティングのアプローチを行うことができるため、消費者にとっても企業にとっても透明性が高く、winwinの関係を構築することができます。
ゼロパーティデータ
ゼロパーティデータとは、消費者が企業に対して、特定の対価と引き換えに意識的に提供するデータのことをいいます。「この企業なら」、「この報酬がもらえるなら」という条件のもと、消費者が自ら同意のもと提供するデータのため、消費者にとっても納得のできる形で活用される他、企業にも消費者のリアルなデータが入ってくるというメリットのあるデータです。
ゼロパーティデータ以外のデータの種類は、以下の通りです。
ファーストパーティデータ
企業が蓄積する自社顧客やユーザーに関するデータをファーストパーティデータと言います。企業が所有している独自のデータで、収集方法から活用まで自社が完全にコントロールすることができます。
ゼロパーティデータと比べると、消費者からの同意を必ずしも必要としないという点で収集は簡単ではありますが、あくまで観測データから推測した顧客の理解ということで正確性が劣る他、データの対象が現在の顧客に限定されるため顧客以外の消費者を含む広範囲な市場を理解することはできません。
具体例:自社サイト訪問者のwebアクセス情報や、モバイルアプリ、POSシステムの売り上げ情報、CRMシステムの会員情報など
セカンドパーティデータ
企業がパートナー会社から直接取得する消費者データをセカンドパーティデータと言います。自社単独では収集できない情報を収集できる点で役に立つデータですが、パートナーから取得するデータの収集方法や管理方法のコントロールは持つことができず、データの範囲も限定されます。
具体例:航空会社がパートナーの宿泊施設から宿泊客に関するデータ(乗客数や乗客の属性情報)など。
サードパーティデータ
自社やパートナー企業以外の第三者が提供するデータをサードパーティデータと言います。自社の顧客やユーザー以外のデータを広範囲に収集する場合に非常に便利ですが、第三者が提供するブラウザ履歴やオープンデータから推測した消費者データであることから、データとしての信頼性は低いとされ、また個人情報保護規制の強化など自社ではコントロールできない環境の変化により収集できなくなるリスクがあります。
具体例:国勢調査、IOTデータ、サードパーティCookieデータ
ゼロパーティデータの特徴
・正確性
ゼロパーティデータは、個人が自ら同意の上で提供する情報のため、他のデータと比べ情報の正確性が担保されています。よって、間違ったターゲティングなどによる無駄なプロモーションをすることがなくなります。
例えば、友人夫婦に子どもが産まれ、出産祝いに赤ちゃん用のベビー服やベビー用品をネット検索していたら、それ以降ウェブサイトなどの広告で赤ちゃん用の商品の宣伝が流れ出す。これは、ファーストパーティCookiやサードパーティCookieデータなどの落とし穴で、オンライン行動情報を利用して収集したブラウザ情報だけでは、この消費者が赤ちゃんの両親なのか、友達の赤ちゃんのために情報を収集しているのかを正確に把握することができないのです。
・信頼性
ゼロパーティデータは、消費者が自身に関する詳細なデータを提供しているため、企業はデータの利用目的を事前に開示し、その都度なされる許諾プロセスを経て、消費者に対し何らかのタイアを提示することで成り立っているため、信頼のできるデータが集まります。
得体の知れない媒体や企業に対して個人情報を提供したくないのは、消費者の立場に立ってみれば当たり前のことです。また個人情報を提供したいと思えるようなインセンティブ(データを提供する対価のことで、具体的にはギフトカードやポイントなどが挙げられる)などを提供することで、消費者にとって納得のいく取引を行うことができます。
ゼロパーティデータは、企業に対する信頼があるからこそ消費者が自ら提供する消費者データなのです。
・ポストCookie対策
近年、Cookieを用いた同意のないデータの広告などへの利用が増えてきたことで、個人情報保護の観点からもCookieの使用が見直され、Cookieを使わないマーケティングのデータ活用が求められています。
まずCookieとは何か簡単に説明すると、ユーザーがウェブサイトにアクセスしたときにブラウザに送られてくる小さなテキストデータです。ウェブサイトは、Cookie を使ってユーザーのアクセスに関する情報を記録しておくことで、ユーザーが次回からウェブサイトに簡単にアクセスして、より有効に活用できるようにします。(Googleより引用)
このCookieには二種類あり、訪れているドメインにおいて付与されるファーストパーティCookieと、訪れているドメインではない第三者ドメインから付与されるサードパーティCookieがあります。
一度アクセスしたことのあるショッピングサイトに再度アクセスした時に、ショッピングカートに入れた商品が残っているなど、同じドメインのサイトのデータが残っている状態を再現するのがファーストパーティCookieの特徴です。一方サードパーティCookieは、複数のサイトから横断的にCookieを付与することで個人が特定できるようになるため、関係のないページを開いた時に以前見たサイトに関連する広告が表示される、というような同意のないデータ利用が行われる仕組みとなっています。
その点、ゼロパーティデータはこれらのCookieデータに依存していないのがポイントです。特にサードパーティCookieデータをベースとしたユーザーの閲覧履歴等ユーザーのweb上での行動を追跡するトラッキング広告は、ユーザー視点に立ってみると気味が悪く、良いユーザー体験であるとは言えません。また、こうした同意のないデータを利用することで広告主やメディア自体の信頼性を損ねる可能性があります。こういった背景から、Cookieデータの代替になるデータとして注目されているのです。
すでに、FacebookやGoogleなどにおいてはCookie以外のデータを活用したセグメンテーションを構築し、広告配信などに活用しています。今後、多くの企業でポストCookieの対策が求められるのではないでしょうか。
終わりに
ゼロパーティデータのような対価を払い同意を得て収集した消費者の声は、リアルタイムかつ正確な情報を収集できるという面で良いものの、アンケートコストやインセンティブといったコストがかかるのも現実です。しかし、顧客のプライバシーや個人情報を守る体制を整えているという事実が消費者の企業への信頼度を増し、ビジネスの持続可能性を高める効果も期待できます。
また、ゼロパーティデータ収集やそれに伴うコストに関しては正しいパートナー選びが鍵となります。弊社Syno Internationalは、独自のCDaaS(Consumer Data as a Service)システムを開発し、自社顧客から潜在顧客、競合ユーザーまで様々な対象のゼロパーティデータを効率的に収集する仕組みを提供しています。
ゼロパーティデータの活用例や、収集方法、収集における課題や回答インセンティブについて詳しく知りたい方は、是非以下のリンクからホワイトペーパーをダウンロードください。
ポストCookie時代に対応する次世代消費者データ「ゼロパーティデータ:収集編」 | ホワイトペーパー
ポストCookie時代に対応する次世代消費者データ 「ゼロパーティデータ:アンケートの回答インセンティブ編」| ホワイトペーパー
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