欧米の市場調査はサイエンス!?|海外で活躍した日本人リサーチャーに直撃インタビュー①

本コラム「海外リサーチ最前線」では、海外調査(グローバルリサーチ)に特化しSynoJapanの様々な分野のエクスパートが、「海外リサーチ」をテーマに、国内と海外のリサーチ方法の違いや、海外のリサーチ手法の最新情報、海外リサーチをより身近に感じてもらえる情報などを定期的に紹介していきます。

記念すべき第一回として、海外リサーチの経験豊富な弊社CRO(chief research officer)川口から現在の日本のリサーチ事情、欧米のリサーチ事情をインタビュー形式でご紹介します。

まず、川口さんご自身のスペシャリティと簡単な経歴からご紹介いただけますでしょうか?

食品グローバルマーケティングが得意分野です。日本では知覚研究の第一人者として、科学的なアプローチでメーカーの海外市場開拓のコンサルティングを主に手掛けています。大学でマーケティングを専攻した後、日本のシンクタンクなどで食品ブランドやマーケティング開発を担当。2000年にカルフォルニア大学デービス校に知覚評価学(Sensory Science)を研究するため渡米。2010年にカルフォルニア州デービス市に知覚総合研究所を設立し、そこを拠点に企業のグローバルプロジェクトをサポートしています。

カルフォルニア大学で研究することになったきっかけは何ですか?

日本のシンクタンクにいるときにグローバルプロジェクトを担当していましたが、その時にカルフォルニア大学と共同研究する機会がありました。海外での最初の衝撃はカルフォルニア大学で出会った欧米の科学的な調査手法でした。調査手法や評価方法を科学的に設計していくのをみて「こんな科学(Sensory Science)があるのか。これはかなわない。」と悟り、センソリーサイエンスの本場、カルフォルニア大学で修行する決意をしました。

研究されていたのは食品工学部ということですが、なぜ食品工学部にリサーチの研究室があるのですか?

カルフォルニア大学はバークレー校をはじめUCLAなどが有名ですが、デービス校はもともと農学部で、農業国カルフォルニア州らしく、農業から食産業まで幅広い研究がされています。キャンパス面積の大きさは全米屈指で、敷地の中にはアメリカの農業には欠かせない飛行場、広大な牧場や農場、ワイナリーなどが地平線まで広がっています。そこで、バイオでの品種改良、実験栽培、土壌(微生物)や環境、生産加工技術、流通ビジネスなど農業・食品に関わるあらゆる研究がされています。味覚やおいしさの研究も食産業には欠かせませんが、それには人に評価させるときの調査(リサーチ)の精度が重要です。評価の結果は、生産や加工分野の研究に影響しますので、食品工学として、調査(リサーチ)を科学しています。

その後のプロジェクトも食品関係が多いということですが、もともと食品とはどのような関わりをもってこられたのですか?

実は、父はパティシエで物心ついた時には家業を手伝っていたので、幼いころより食品産業に関わっていました。幼いながらも「おいしさ」は味覚だけでなく、見た目やイメージが強く影響することは周知していました。最終的には食を作るほうではなく、研究する道を選んだのですが、父が取り組んできたことをそのまま引き継いでいるような気がします。

確かに食文化は国によって違いますが、海外でのリサーチ事情は日本とは違うのですか?

最初にカルフォルニア大学で衝撃を受けたのもそうですが、マーケティング調査に関しても脳科学や神経科学にまで及び、調査が学問、科学として確立されていることです。お恥ずかしい話ですが、当時自分は日本では調査のスキルには自信がありました。上司に鍛えられながら必死に体得したものです。それが欧米では教科書があり、学校で理論的に吸収できます。つまり、日本では調査会社のスタッフしか持たないような知識やノウハウは、みんな知っているわけで、このことだけからもいかにリサーチ事情が根本的に違ってくることがわかると思います。

たしかに、調査の役割が大きいと、科学的な研究や教育の取り組み方も活性化するわけですね。では、どうして日本では調査を科学的に研究がされないか不思議ですよね。次回は、日本と欧米のリサーチの違いについて、その背景も含めて詳しくお聞きしたいと思います。

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